総合評価5: The Saint: The Original Sinners #5

2015年12月29日

The Saint: The Original Sinners #5

ノーラ(Nora Sutherlin)は、親友のキングスレー(Kingsley Edge)に26歳になる息子ニコラス(Nicholas: 通称ニコ)がいる事実を知り、真相を突き止めるべくフランスとドイツに滞在していた。ニコは、ノーラに父親に関する真実を聞かされ驚きと共に彼女の魅力の虜になる。母を亡くし悲しみにくれていたノーラは人の温もりを恋しがったのも重なり、2人はコテージで熱い夜を過ごしながら、ベットタイムストーリー、ノーラの過去に思いを巡らせていった。

著:Tiffany Reisz

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The Original Sinnersシリーズついにホワイトイヤーズに突入‼︎(このシリーズは前半の4部作をレットーイヤーズ、後半4部作をホワイトイヤーズと言います)。

久しぶりにキタ〜〜〜〜‼︎ という感じ。何かキタって⁉︎

WetRushただ食って寝て、読書だけしていたいと心から願う毎日ですが、仕事も生活もあるワケでなかなかそうもいかない。それでもそんな生活を無視してでも、睡眠時間を削っても今すぐ読みたい。読書が止まらない。心からそう思う本がたまにあるんです。まさにこの本は久々に素晴らしかった。

そして素晴らしさもお済み付き。

この本、本年度のリタ賞エロチカロマンスを受賞した本。リタ賞はご存知ロマンスに特化した文学賞ですが、去年の2014年からエロチカロマンスというカテゴリーが加わり今年が2回目。ちなみに去年はJ. Kenner作Stark Trilogyシリーズの2部目Claim Meが受賞したのですが(レビューはこちら)、そこまでダントツ面白かった訳でも無いような…まぁ面白いは面白いですけどね(この話はまた今後)。

とにかく、今年この本がリタ賞エロチカロマンス部門を獲得したのは激しく納得。本当に素晴らしかった。

当初、読み始める前まではノーラとソルン(Søren)の出会いを綴った本と分かっていたので、ノーラが15歳の過去にタイムスリップするのかと思っていたが、実際はレットイヤーズのその後、ノーラが36歳の設定です。ニコにキングスレーの事実を伝えると、まだ会わぬ父親がどんな人物か教えて欲しいと彼から頼まれます。ノーラは自分とキングスレーを語るにはどうしても外す事の出来ないもう1人の人物ソルンとの出会いから語り始めす。

最初WetRush、自分の想像と違った設定にアレ?っと思ったが、読み終わった後はこのパターンが自然だなって思えた。ノーラがソルンとキングスレーに出会って20年。長い年月を振り返りながら語るストーリーは今だから理解できるその当時の相手の思いとか感情に客観性が加わってより読者に分かりやすい設定になっていると思う。

初めてノーラがソルンに出会ったのは教会のミサ。ノーラは母と一緒に通う教会に新しく赴任したスターン神父(ソルン)に一目惚れ。一方ソルンはやっと彼女に巡り合えた。そんな気持ちでいた。レットイヤーズの3部、The Princeで当時高校生の2人ソルンとキングスレーはBLの関係にあったが、残念ながら2人の愛は実ることがなかった。当時十代の若いキングスレーはソルンに絶対的な服従心を強く抱えていて、ソルンからのいかなる要望にも答えてしまう、もしソルンが「死ね」と要望したら本当に自らの命を絶ってしまうような服従心。それが分かるソルンも自分の支配力に恐怖を覚えた。いつか将来、自分に服従しながらも最後の一歩で自分を持ち続ける強い心を持った美しい女性にめぐり会い、Subとして関係を築きたい。そんな夢を抱えていたソルンは初めてノーラに会った時、「初めまして。やっと巡り合えましたね」と挨拶してしまうほど。

この本はノーラの目線で彼女の記憶を語っているので、ソルンの思いは完全には分からない。でもソルンがその当時ノーラに言った言葉や態度を通してWet Rushなりに想像すると、ソルンも相当苦悩していたことが分かるんだな。

虐待するサドの父同じく自分もサドだと気付いた少年のソルン。その当時通ってい全寮制の学校で起こした喧嘩、相手を傷つけながら初めてオーガズムを経験し、自分を恥じた。自分はただ欲望のままに我が子までも傷つけ虐待する憎む父と同じなのか。その後14歳で聖職者になると誓ったソルンは初めて自分の気持ちが穏やかになれたと語っている。

ソルンって本当に完璧な男。怖いくらい見た目も中身も完璧。しかしサドだった。大人になった今でも定期的に誰かを傷つけ欲求を発散させなければ平静を保てなくなる。そんなダークな一面を抱えてるが故に、自由と富を捨て、自分の全てを神と教会区のコミュニティーに捧げる事で、心の均等を保っていたのかも。

あれ、ソルンがSubになってるww。

なんとなく思うに、BDSMってコインの裏と表みたいで行き着く所はひとつのコインなのかな。ソルンはノーラに最後は自分を見失わない強い心を求めたって事は、Domの一面を持って欲しかった。

神父のソルンは、聖書を引用して彼の恋愛感やエロだけに終わらないBDSM感、哲学的にノーラと話をし、身体面に囚われない心の繋がりを強くしていく。たかがBDSMされどBDSM、ここまで哲学的に愛を語れるTiffany Reisz、本当にすごいなって思う。

ノーラがソルンに出会ったのは15歳の時。すぐにお互いを愛していると確信するが、ソルンはノーラが20歳になるまでセックスをしなかった(その間ずっとノーラはソルンを一生懸命誘惑していて可愛い)。もちろんソルンも性欲が禁じられた神父といえど所詮男、最大級の自制心でノーラへの欲望を我慢する。

その変わり、底抜けの愛情でノーラが道を外さぬよう、時に兄のように見守り、守り彼女が魅力溢れる女性に成長したのは、ソルンの支えもあるかと思える。

なぜソルンはノーラとそんなにも長い間セックスをしなかったのか。

もし2人が体を重ね、それが世間にバレたら、良く耳にするカソリック神父の幼児への性虐待と同等の扱いを受ける恐れを感じていたのも事実、しかし一番の原因はソルンのダークな面、サド性が原因だったと思う。

ソルンは、ノーラにそれでも最後に自分を選んで欲しかったんだよ。

まだ若く経験少ないノーラの憧れや一時の感情だけで、自分のサドの犠牲者に彼女をしたくなかった。

普通の女の子同様、学校生活を楽しみ、友達と遊び、男の子とデートもして、最後にそれでも自分を選んで欲しかった。ソルンは自分があまりにもダークで危険な男だと一番分かっているから、生半端な気持ちで彼の闇に入って来てはいけないと思っていた。

“Little One, to be with me is to hurt.”
“To be without you would hurt more. It did hurt more. You won’t scare me off. I’m not afraid of you.”

ソルンは自分の危険性をノーラに過去の経験を交え説明するが、それでもノーラのソルンへの思いは変わる事なく、彼を愛し続けストーリーの終盤、ついに20歳に成長したノーラはソルンに処女を捧げる。

もうねぇ、この本はこのシーンのためにあると言い切ってもいいくらい。

たった数ページのこのシーンを盛り上げるために、Tiffany Reiszは他を書いたって感じ。最大の見せ場です。そのくらい超〜〜〜〜インテンス。

目ギラギラ、鼻息荒く、瞳孔全開の世にも恐ろしい様相で、このエロシーンを楽しんだWer Rush(今も余韻を引きずりっぱなし)。

その位エロさ炸裂だった。

エロを助長するように、それでもソルンを選んだノーラの胸熱さ、処女にそこまでするか!! と心臓バクバクのDomソルンの冷血さ、頭にガンガン響く力強い文章が、呼吸を忘れるほどに押し寄せて、とにかく、エロすぎる。

“She should submit to him in love and without fear, giving her body to him like a holy offering and making their bed an altar.”

あ、もちろんねノーラが話す過去のソルンとの関係からちょこちょと現在に戻り、ニコとエロい事したりするのだが、そんなもんノーラが処女を捧げるシーンに比べたらただの鼻くそ。

次のホワイトイヤーズ2部目のThe Kingではノーラとニコのベットタイムストーリーは場所をコテージからニコの自宅に移しそのまま続くよう。ソルンを愛していながらも彼と一緒になれないキングスレーの思いは読む前から胸熱なのが目に見えてる。

この本に続き次も5スターの予感。

最後に、私がレットイヤーズの4部作を読んだのが2013年(ブログにレビューを書いたのは2014年だが)。その時のこのシリーズへの自分の評価はあまり高くなかった。あの時の私にはこの世界観を理解でなかったのかな。こんな素敵なシリーズをなぜあんな低い評価にしたのだろう…と今反省中。

 


日本語版The Original Sinners / 訳 清水 由貴子、藤峰 みちか (Amazon Japan)

    
胸熱度
濡れ度
泣き度
総合評価

4 Comments

  • SIRONEKO 2015年12月30日 at 4:42 AM

    お忙しい最中と思われますのに、更新本当に有難うございます。
    毎日覗いていたかいがありました。
    やはり、読み巧者のWetRush様にさえ寝食を忘れさせるほどの内容でしたか・・・。
    読みたいな・・・私、学生時代に英語アレルギーになっちゃったもので、原書しか無いとなると
    どうにもなリませんね。
    なんとなく、隠れティファニー・ライスファンは可成り居るようなきがするけど、出版社の考えは
    変わらないのかしら。映像になれば何か動くかも、とは思いますがちょっと無理だし。
    このまま日本語では読めないのだろうか・・・。
    ともかく内容を教えていただきありがとうございました。

    • Wet Rush 2015年12月30日 at 12:18 PM

      SIRONEKOさん

      早速のコメントありがとうございます‼︎
      先週末は、夜中まで読書、起きたらパジャマのまま読書とティファニー漬けの毎日でした(笑)。この本は賞も受賞しているし英語圏の評判本当にいいので、こうやって私達が盛り上げれば、いつかきっと時間がかかっても翻訳になる事を信じます。今は版権が高くて日本語出版が難しくても将来は可能になるかもしれない。希望を捨てずに頑張りましょう‼︎(←どっかの抗議団体みたいな事言ってますが:汗)

      私の知る限りでも、ティファニー・ライスファン沢山居ますよ。
      その声がハーパーコリンズに届けばいいですね。

  • Bambi 2015年12月31日 at 11:16 AM

    Wet Rush様、続編の内容教えて頂き、有難うこざいます。
    もう読みたくて読みたくてたまりません。英語さえ出来れば…
    シリーズ物はキチンと続編も翻訳版出して欲しいと切に願います。

    でもこうしてWet Rush様が内容を教えて下さったので、続きが気になっている身としては非常に有り難いです。
    近い内に翻訳されます様に‼︎

    • Wet Rush 2016年1月1日 at 7:23 PM

      Banbiさん
      新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
      本当、シリーズ物が続かないのは、悲しい限りですね。例えば電子だけとか、1冊を1/4位に分割してそれぞれに利益載せるとかの工夫でなんとか出版するとかって出来ないんですかね…。少し時間が空いても、続編を出版してくれる事を切に願います。

      いつもレビューも書く時、ネタバレの度合いって本当に悩むんですよ。私の場合、日本語版未出版の本が多いので、ガッツリネタバレしてしまいますが、果たしてそれでいいのかとふと考え込んじゃう時もあります。だからBanbiさんのご意見は本当にうれしい。これからも読書&レビュー続ける励みになります。

      本当にありがとうございます‼︎‼︎

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