総合評価5: The Scent of Winter: The Original Sinners #6.2

2016年12月27日

The Scent of Winter: The Original Sinners #6.5ニューオリンズに移り住んで2年。グリフィン(Griffin)に経営を委ねたBDSMクラブ、エイトサークルの経営状況を確認するために久しぶりにニューヨークに帰って来たキングスレー(Kingsley Edge)。ニューオリンズに戻る道中、運転手に空港とは違う方角に連れていかれる。グリフィン、妻のジュリエット(Juliette)、そして友人でもあるノーラ(Nora)達が仕掛けたサプライズにより、キングスレーはソルン(Søren)の誕生日を2人きりで祝うために、2人が青春時代を過ごした神学校があるメイン州の山小屋に連れて来られた。久しぶりに2人きりの時間を過ごすキングスレーとソルン。ソルンから初めて聞かされる告白。長い歳月を経て、やっとお互いをより理解し、十代の頃と変わらない思いを確かめあう。

著:Tiffany Reisz

ティファニー・ライスが読者へのクリスマスプレゼントとし、無料配布したThe Original Sinnersシリーズ 6.5部にあたる短編(ダウンロードはこちら:画面左下の電子書籍のアイコンをクリックすると入手できます)。

本当に、ティファニー・ライスって太っ腹。無料短編と言うのは申し訳ない程のボリュームで1つのストーリーとして、十分過ぎるほどに楽しめる。キングスレー50歳。ソルン明日51歳。おっさん2人のBL…ボーイズラブには歳とり過ぎてるので、英語表現 MMロマンスとしておきます(笑)。

私、読み始める前までこのMMロマンス、ソルンがノーラに出会う前の話と勘違いしてた。でも実際は、7部8部の前の話。って言ってもこのシリーズ時系列がバラバラなストーリーなので、説明が難しいのだが、キングスレーもソルンも50歳のおっさんになった「今だから告白するあの時は…」っていうのが主な話の流れ。

この本で初めて、ソルンはキングスレーに愛を告白するんだなぁ(厳密には愛していた事)。今までのシリーズ読んでて、ソルンがキングスレーを愛していた事も、彼がそう言っていた事も読者は知ってるけど、ソルンは一度もその思いをキングスレー本人へは伝えていなかった。

それがさぁ〜、まぁ切ないこと。読んでて胸がムギュ~と締め付けられた。でも不思議と心が暖かくもなった。

6年前、ソルンがシリアから帰って来た時(詳しくは8部参照)。恋しさのあまり最初にキングスレーに会いにいった。理由は彼にまだ一度も「愛している」と伝えてなかったから。しかしキングスレーはジュリエットと外出していて留守だった。その後ノーラに会いに行ったが、ノーラはウェスレー(Wesley)の引っ越しの真っ最中。ノーラとウェスレーのまるで新婚のような幸せそうな笑顔を見て、ノーラに声をかける事が出来なかった。

ソルン、シリアでは特に危険な目にも会わず無事に帰って来たが、離れて改めてキングスレーとノーラへの恋しさを実感したのかな。

一方キングスレーは、今日始めてこの話を聞いて、まさに「寝耳に水」状態。ソルンがノーラではなく自分に最初に会いに来た。しかも愛を告白するために。しかし、ソルンは、キングスレーに会えない上に、シリアに行く前「ノーラをよろしく頼む」とキングスレーにお願いしていたにもかかわらず、ノーラにウェスレーという新しい男が出来ていた。その事にもキングスレーに腹が立った。

ソルン、キングスレーとノーラへの恋しさからの、嫉妬、怒り、やりきれない思いに、その後しばらく意気消沈。

お互い歳をとり、ちょっとした歯車のズレも長い歳月をへて、今だから全て許せるけど、これは誰が悪いって訳じゃなくて、もうそういう運命だっただな。

それに、ソルンが、嫉妬や怒りを素直に認めるのって、歳をとった今だから、キングスレーの前だけでも出来るのかな。そんな2人の関係に心が暖かくなる。

初めてキングスレーがソルンに出会ったのが17歳の時。18歳のソルンはサディストとしての感情をどうコントロールすれば良いのか分からず、ただキングスレーに欲望をぶつけた。キングスレーはソルンのためなら、自分を命さえ投げ出す程に、ソルンに溺れた。BDSMというルールを知らない2人は、ただ暴走して、その時から、2人の歯車はズレてたのかも。

キングスレーとソルンが結ばれない運命っていうのは、理解出来るのよ。今となっては、キングスレーもソルンもそれを望んでいるし。キングスレーには、愛する妻ジュリエットとの間に娘がいて、最近ニコラス(Nicholas)という息子がいる事も知り、人生は充実してる。ソルンもノーラと幸せな関係を築いている。

でもね、心の奥底にあるのよ、2人の隠れた思いが。

毎日一緒に生活を共にする関係にはなりたくないけど、時に会いたくなって、ジュリエットやノーラでは埋める事の出来ない、隙間を満たしてくれる関係。なんだか親友みたいでもあり臨時の恋人でもあるみたいな。

2人の歯車がズレてても、今となってはそのズレが味になってるから、それですべて良し。

ソルンは息子フィオン(Fionn)のために神父をいう職業を捨てたいと思っていた。また自分が父から受け継いだサディスティックな感情がフィオンに遺伝するかもしれない不安をキングスレーに相談する。

Domのソルンが誰かに相談を持ちかけるってすごい事。でも自分のすべてを知る親友キングスレーには別なのかも。

キングスレーは自分が父親になって初めて感じた思いなんかを告白したりして、このあたりはなんとも胸熱。

いろいろあったけど「雨降って地固まる」的なこのストーリー、キングスレーとソルンの関係が素敵過ぎ。これまたティファニー・ライスに一本とられたはぁ〜。

あ、肝心な事ww言うの忘れてたけど、エロも最高です。キングスレーとソルン超インテンス。

ティファニー・ライス、インテンス感を表現するのに、エロシーンは、短い文書の配列を改行なしで、たきつけるように書いてるんだけど、読んでてグゥ〜〜と吸い込まれるようで、これが大変よろしい。

それに、エロシーンで、キングスレーがイク時ね、

Semen spurted out of him and onto his stomach in a hot wet rush.

って書いてあったんだけど、ティファニー・ライスのTwitterアカウントに、しつこく書き込みしてる成果はあったらしい。もれなく私の名前が採用されました(笑)。←物は言いよう♪

その他にも、神学校時代の思い出と今回の山小屋、寒さ、雪などシンクロさせたり、ここでは語り尽くせないレイヤーが満載で、やっぱり、ティファニー・ライス最高!!

 


日本語版The Original Sinners / 訳 清水 由貴子、藤峰 みちか (Amazon Japan)

    
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総合評価

2 Comments

  • SIRONEKO 2016年12月28日 at 10:58 PM

    解説していただきありがとうございます。
    なにしろ、暮れのそれでなくても気忙しい時に、ザザーとななめ読みしただけで
    感想書いてしまいました。
    キングスレーも外人部隊の時、確か重傷を負ったことがありましたし、神学校の時も
    ソルンがけがを負わせてしまったこともあったし、そこら辺を勘違いしてました。
    曲がりなりにも、短編読めるのですから、ゆっくりと全部の短編を読んでみたいと思っています。
    ティファニー・ライスの作品に流れる、そこはかとない品の良さと静かな時間が大好きです。(書かれている内容は神曲の地獄の風景でも)

    • Wet Rush 2016年12月29日 at 12:44 PM

      SIRONEKOさん。

      そうですよねぇ…年末の忙しい時に、状況考えずにむやみにオススメしてしまいましたね。すみませんでしたm(_ _)m

      確かにティファニー・ライスの本、品の良さ、文章が美しいですよね(エロシーンでさえ)。私彼女作詞家にも向いてるように思います。上手に韻を踏む所なんて、ラップも書けると思う(笑)。

      そうそう、この本に書かれていた、キングスレーがイク時の一文、
      “Semen spurted out of him and onto his stomach in a hot wet rush.”ティファニーのTwitterアカに、”Thank you @tiffanyreisz!! Kingsley was coming with my name” とメッセージ送ったら彼女本人から、”He’s clearly fond of you ;)”と返信をいただきました。作者お墨付きで、キングスレーは私の事が好きなようです(爆)

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