世界で一番美しい声: A Sign of Love (4)

事件に巻き込まれ、唯一の家族、父を失うという悲劇を経験した、ブリー(Bree Prescott)は、逃げるように地元のオハイオ州を離れ、湖が美しいメイン州の田舎町にたどり着いた。湖の畔のコテージで生活を始めたブリー。町に買い物に出かけたある日、その美しさを隠すように、ボロボロの服を着て、髪やひげを伸ばした不思議な男性に出会う。何故かその男性が気になったブリーは、彼が、アーチャー(Archer Hale)という孤独な男性である事を突き止める。
著:ミア・シェリダン (高里 ひろ)
- 胸熱度 100%
- 濡れ度 100%
- 泣き度 100%
- 総合評価 100%
この本の洋書を読んだのが、2014年11月(レビューはこちら)。あれから約2年半の月日が流れ、やっと、ホントにやっと訳本が出版された。
もう嬉しくて。嬉しくて。
訳本の発売前からネットで予約済だったが、家に届くのが待ちきれず&電子も同日に発売されたのを受けて早速購入。私の購入なんて微々たるもんだけど、それでもミア・シェリダンだけは、このままずっと訳出版が続いて欲しい、他にも素晴らしい作品が沢山あるから。その為なら金使うさ。
この本のレビューは原書の方で語ってるので、今回は割愛して、ちょっと訳について思った事を少し。
その上から目線、お前は何様だというツッコミが…聞こえるのは無視してww、日本語も読みやすくてよかったよ。
その上で、アーチャーを「僕」と訳していた事。
ご存知の通り、英語は日本のように性別や立場なんかで自分をどう呼ぶか選択肢がなく、”I”のみ。この”I”を訳すとしたら、アーチャーの場合、「俺か僕」のどちらかになるのだが、Wet Rushが原書を読んだ時の感想は、前半のアーチャーは「僕」、後半は「俺」って感覚が強かった。
でも今回この訳本は、最初から最後まで「僕」で統一されてて、後半のアーチャーの男らしさが薄められてるように思えたの。
でも読み終わった後に感じたのは、訳をなさった高里 ひろさん、アーチャーを「僕」で統一しながらも、後半の彼の激しさを他の文章で上手く表現したなと。それに翻訳者でもない私は、原書を読む場合、日本語に置き換えて読んでいないので、「俺とか僕」の違いって単なる脳内イメージでしかないし。そういう意味では、日本語より英語の方が言葉にダイレクト感があるので、日英で同じ意味を持つ言葉でも英語の方が強さを感じるだけなのかも。だから、高里 ひろさんの訳が正解なんだなきっと。
最初に読んだ原書でアーチャーに惚れ、今回訳本で再読してまた違う印象のアーチャーに惚れ、1冊のストーリーで2度美味しいみたいな。
いやぁ〜ホント、このストーリー好きだ(エグいロマンスが好きとか言ってるWet Rushですが: 汗)。
基本これでもロマンスファンですから、こういう純愛だって好き。
所で、次はどうか、Becoming CalderとFinding Edenを訳してください。
この2冊も強烈にすばらしいので。どうか、お願いします! I’m begging for this, so please!!!
日本語版 A Sign of Love / 訳 高里 ひろ(Amazon Japan)
Wet Rushさま
こんにちは。Ogicchです。読書メーターからお邪魔します。
私も初め、「僕」に違和感(?)があったのですが、「あ~、アーチャーは『僕』から『俺』に成長する時期に、『俺』を使う男性がそばにもいなければ、見聞きする環境にもなかったんだな~」と、彼のこれまでの孤独な人生に胸がつぶれる思いがしました。
一人前の男になってからの「僕」も、それはそれで萌えますが…。
『Archer’s Voice』紹介してくださって、ほんとにありがとうございます。読めてよかったです。
Ogicchさん
コメントありがとうございます!!
確かに、アーチャーが自分を「俺」と言って、少年同士で強がる機会も無ければ、その必要も無かったですもんね。彼の孤独に胸が詰まりますが、でもだからこそまっすぐ育ってくれてありがとう!と言いたい。今の世の中あんなにピュアな男性っていないですもんね。
とことん純粋なヒーローをコンテンポラリーで表現するのに、アーチャーを孤独な設定にして、純粋さに現実味を持たせてるみたいな。ミア・シェリダン技ありだと。
ミア・シャリダンは本当に論理的な話を書く素敵な作家で、私大好きです。
この「世界で一番美しい声」が好評で、他の素晴らしい彼女の作品も訳される事を本当に祈ってます!!