Becoming Calder: A Sign of Love (5)

2014年11月10日 | バニラ, 泣き本, 洋書, 濡れ本, 総合評価 5, 胸熱本 | コメント0件

Becoming Calder: A Sign of Love#5

アリゾナ州の森奥深く、自給自足で共同生活を送る、宗教団体のコミュニティーがあった。そこに暮らしている1人の少年、カルダー(Calder Raynes)は、貧しいながらも姉と両親の4人家族で幸せに暮らしていた。ある日、教祖のいいなずけとして現れた、7歳の少女エデン(Eden)、2人は、洞窟の中にひっそり存在する、泉で出会い、密かに、友情を育み、淡い恋心を抱き、大人へと成長する過程で愛しあうようになっていった。

  • 胸熱度 100% 100%
  • 濡れ度 100% 100%
  • 泣き度 100% 100%
  • 総合評価 100% 100%

A Sign of Loveシリーズ、5部目。このストーリーは、2部構成で、次の6部と続きモノになっています。

最初この本を読み始める前は、4部があまりにも良かったので、さすがに4部以上はもう出ないだろうと、タカをくくっていましたが、「いやいや・・・汗・汗・汗」ミア・シェリダンヤバすぎ!!! 何しろ、Wet Rush、ストーリーの内容もよく理解していない、最初の数ページで号泣しましたからwww。その位、ミア・シェリダンの素晴らしい文章が一瞬で、読者をストーリーの世界に釘づけにさせるんだな。

このストーリーは、他のシリーズ同様コンテンポラリーではあるものの、現代の別の顔を切り取った、コンテンポラリー。なんとも斬新で、過去に例のないロマンス。ロマンス以外にも伝えたい思いが盛りだくさんなので、少しコミュニティーの背景をネタばれします。

カルダーが生活していたコミュニティーは、完全に外の世界から隔離され、電気も水道もなく、食べ物から身の回り物すべてを自給自足する、現在から過去にタイムスリップしたような生活だった。コミュニティーには200人ほどの人が生活していたが、カルダーと彼の家族は、労働階級に属する低い身分だった。コミュニティーには、農業などを営む、労働階級の他に、幹部と言われる電気・水道が完備され、個々に車を所有し贅沢な生活を送る人達もいた。そして、コミュニティーの教祖で神父のヘクター(Hector)は、キリスト教に基づく独自の宗教観を唱え、コミュニティーのすべてはヘクターを中心に回っていた。

ヘクターの神からの唱えは、近い将来、大雨による大洪水がおき、世界中の大地が海のように水の底に沈んでしまい、人間や動物、植物までも息絶えてしまう。しかし我々は、地下に大きなシェルターを作りそこに洪水の間身を潜めることで、ノアの方舟ごとく、自分達のみ生き延び、その後の世界は、極楽浄土さながらな美しき世界になるというものだった。

そして、その極楽浄土に我々を誘うのには、ヘクターは結婚しなければならない。その為に、コミュニティーに連れてこられた7歳の金髪の美しい少女、エデン。エデンは、両親を事故で亡くし、身寄りのなかった所を、ヘクターが彼女の孤児後見人となる事で、コミュニティーで生活を始める。エデンが18歳になったら、ヘクターと結婚し、極楽浄土で彼の妻として生涯を送ると計画されていた。

エデンは、何も分からない7歳で、コミュニティーで生活を始めるが、他の子供達のように教育を受けることを禁じられ、毎日が孤独だった。コミュニティーの少し離れた所にある、泉。その奥の一目に付かない所にある洞窟の先には、人が誰も足を踏み入れた事のないような、美しい泉がさらに存在していた。エデンは、幹部とその家族、または、ヘクターの愛人達からの嫌がらせから一時の解放を求め、よくその泉に通っていた。

一方、カルダーは、両親の農業を手伝う傍ら、宗教儀式で使用する水をその泉に汲みに行く役を請け負っており、その日も水を汲みに泉を訪れていた。そして、カルダーとエデンは出会う。

頻繁に泉で会うようになった2人は、悩みを打ち明け、友情を分かち合い、いつしか愛し合うようになる。2人だけの秘密の泉での初めてのキス、愛撫、セックスそのすべてが、ピュアで、イノセントで、情緒豊かで、美しく、読んでて胸が締め付けられて、読むのを一時中断せざる負えないような、言いようのないため息がでるほど強烈。

ミア・シェリダンのストーリーの運びが、なんともニクイと思うのが、泉は2人にとっての「エデンの園」で、ヒロインの名前がエデン。「禁断の果実」ならぬ「禁断の関係」に2人がなってしまったら、自分自身の人生そのものにも疑問が湧いてくる。

エデンは、

「なぜ自分は、教育を受けたり、他の子供達と遊ぶことができないのか」
「ヘクターは多くの愛人を囲い、子供も沢山いるのに、なぜ自分と結婚したいと思っているのか。また、愛してもいないヘクターとなぜ結婚しなければならないのか」

カルダーは、コミュニティーでの生活しか知らず、エデンを愛するまでは、それが当たり前と思っていた。しかし、

「なぜ自分達は外の世界と隔離されているのか」
「ヘクターは外の世界の人間は、邪悪で危険というが、本当なのか」
「生まれながらに自分は、労働階級で、自分の人生に野望を持つことは出来ないのか」
「そもそもヘクターの言う、極楽浄土は本当に存在するのか。大洪水に怯える事に意味があるのか」

「幹部や、ヘクターの愛人達は贅沢な生活を送っているが、なぜ自分達は、質素な生活を送らなければならないのか。・・・自分は、奴隷ではないか・・・」

身分の違うロマンスで片づけてしまえば簡単だけど、自分の力ではどうにもならない現実に翻弄される2人の悲劇に涙が止まりません!!! (レビューを書いてる今も、ストーリーを思い出して涙が出てきた)

それでも、2人は、一緒になる事を諦めず、また、自分の人生を生きるために、ある決断をするのだが、もう、言葉にならない程に、強烈で、強烈で・・・(Wet Rushボキャブラリーオーバーです)

この本を読んで、「オウム真理教」が頭をよぎった。洗脳の恐ろしさ。実際この本でも洗脳されたコミュニティーの人達が悲しい結末を迎える。これも悲劇だと思った。何かを信じるのは悪いことではないけれど、宗教やその団体の為に、自分の人生までも犠牲にしてしまうのは、やはり間違ってる。その一方、カルダーがエデンに合うまでは、「それが当たり前」と思っていた自分の人生。彼は、その世界しか知らないので、「それが当たり前」と思うのは当然だが、同じようにオウム信者の子供や、麻原彰晃の子供達、生まれながらに、オウム真理教の世界しか知らず、洗脳以前に、「それが当たり前」だった彼ら。あの事件以来、きっと辛い思いを経験して、今は大人になったと考えられるが、「それが当たり前」だった彼らに何の罪があったのだろう・・・。

最後に、このA Sign of Loveシリーズ、日本語に翻訳されなかったら、日本の出版社に殴り込みでもしたくなる程に、絶対・絶対に翻訳されるべきシリーズだと思う。フィフティ・シェイズ・オブ・グレイの映画化もいいけど、このシリーズはもっともっと価値がある。ミア・シェリダンの本が翻訳されなかったら、日本文芸界の大きなな汚点とること間違いないです!!!

4部が最高! と言っておきながら、それを軽~く上回る程に、文句なしのオール100%!!

以下は、Becoming Calderの映画の予告編のようなブックトレーラー。

日本語版 A Sign of Love / 訳 高里 ひろ(Amazon Japan)

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