Behind His Eyes : Consequences (1.5)

トニー(Anthony Rawlings)はクレア(Claire Nichols)に心奪われた事で、すべての計画を変えざるおえなかった。その意味を深く理解する事は出来なかったが、ただ思うのは美しいエメラルドの瞳に魅了され、彼女が欲しいと強く思った。自分の持てるすべての力で、彼女を所有し、またクレアにもトニーが彼女のすべてと思ってほしかった。
- 胸熱度 50%
- 濡れ度 10%
- 泣き度 50%
- 総合評価 40%
Consequencesの1.5部にあたる、1部に関するトニーのPOVを綴ったストーリー。
トニーの祖父に関連する陰謀がクレアに与える影響、その原因は1部で明かになっていたけれど、トニーがクレアを誘拐・監禁・暴行した彼の心理は明確になっていなかった。それがこの本ではっきりします。やっぱりねぇ・・・この頃のトニー、Wet Rush嫌いだわ。
トニーはインダストリービジネスで大成功を収めた、超金持ち(お約束w)。ビジネスでは自分の望む結果を導くための分析・戦略・行動に長けているけど、こと恋愛に関しては、まったくの「ド素人」だったんだな。初めてクレアを知った時から、彼女に妙な執着心を覚え、本来予定していた陰謀計画を変えてでも、彼女を誘拐・監禁して、すべてをコントロールし、制圧することで、100%彼女を自分の物にすることが出来ると考えていた。まるでいつもの企業買収のように事はうまく進むと思っていた。
でもねぇ~相手は金や数字だけのビジネスと違い、人間なのよ。クレアはそのほとんどをトニーに強制された状況の中でも、彼を受け入れる強さや、時に反発する度胸も持ち合わせていて、トニーはそんなクレアの感情に一喜一憂する自分の弱さに苛立っていた様子。
恋愛ド素人のトニーの嫉妬や、勝手な思い込み(Jump to conclusion)が、1部で起きるドラマや事件の要因になっている。ティーンエイジャーの嫉妬だったら、「可愛い」ですまされるかもしれないが、富と権力を持ち合わせてるトニーの嫉妬や、勝手な思い込みが導き出す結果は、笑いごとじゃ済まされない。
Consequencesシリーズ全体を通した目線から見たら、1部もこの1.5部も、2人の始まりを理解する本として、非常に面白くて「良い本」って言えると思える。でも、この本だけを切り取って考えると、やっぱりトニーのした事は許せない。最低な所から、トニーはもとよりクレアも2人成長していくのがこのシリーズの面白さでもあるのだが、トニーの非道さに、Wet Rushの胸にギシギシしたわだかまりが消えることは無かった。
面白いなって思うのが、1部と1.5部もストーリーは同じ。1部は主にクレアのPOVで、いわば被害者目線の話。で、1.5部は加害者目線の話。被害者目線のストーリーは、不憫さも影響して、せつなく、悲しく、且つインテンスで大いに楽しめたけど、加害者目線の話は、どんなに読者を納得させる理由や言い訳を揃えても、トニーの狡さを許すことは出来ない。
で、さらに考えてみると、1部と1.5部の一つの同じストーリーで、こんなにも読者の感情を激しく揺さぶる本って、良い本っていうことなんですかね。そうなると評価も高くてもいいのかなって思うけど、人して許せない所があるので、ちょっと辛口に。
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