Debt Inheritance: Indebted (1)

イギリス貴族を先祖に持つニラ・ウィバァー(Nila Weaver)は代々続く織物業に関連してファッションデザイナーとして成功を収めつつあった。ファッションショーが成功を収めたある日、突然父に紹介された魅力的だが冷たい印象の男性ジェスロ・ホーク(Jethro Hawk)。ニラはジェスロの策略により連れ去られてしまう。
- 胸熱度 0%
- 濡れ度 60%
- 泣き度 80%
- 総合評価 90%
前回に続き、ダークロマンスの新星スター(勝手に命名by Wet Rush)ペッパー・ウィンターズの新しいシリーズを読み始めてみた。相変わらずダークだねぇ〜。エグくておぞましい。にもかかわらず、やっぱり、ペッパー・ウィンターズ好きだ。期待を裏切らない。
この本に関していうなら、ロマンスにカテゴライズされてる本なのに、ロマンスゼロ。胸熱ゼロ。いやむしろマイナス。胸熱度マイナス50位の話。なのに何故Wet Rushそこそこ高評価にしてる?
ってねぇ〜…ダークで、エグくておぞましい話の中に希望が見えるのよ。ロマンス本っていう絶対的な大前提があるから、今後ニラとジェスロの関係はロマンスに発展するだろうなぁという読書の勝手な思い込みかもしれない。でもこの最悪な設定の中にチラっと本当にチラっと、「ある」のよ、ロマンス臭が(笑)。
読み始める当初は、この本も前回読んだMonsters in the Darkシリーズ同様、拷問に続く拷問かなと思ったが、この本は今の所精神的な拷問がメイン。前回のMonsters in the Darkシリーズは早い段階でヒーローとヒロインが結ばれて、その上で他の誰かに拷問を受ける話なので読んでて多少望みがあった。しかしこっちは誰の助けも出口ない精神的な拷問で希望ゼロな展開。
600年前、ウィバァー家がホーク家に犯した罪の代償として、ウィバァー家に生まれる長女をホーク家の長男に差し出す決まりがあった。それはその当時合法に決められた事で現代になってもしきたりとして脈々と続けれられており、ウィバー家の長女を罪の負債として、結婚相手ではなく、性奴隷として無条件でホーク家に差し出さなくてはならない。ホーク家の長男は一定の年齢に達するとウィバー家の負債を長女という形で回収し、負債に見合うまで監禁・暴行を繰り返し奴隷を続けさせその後殺害する。そしてニラは7人目のウィバー家長女として、現在のホーク家長男ジェスロに連れ去られてしまう。もし負債を体で支払なければ、ウィバー家そのものを滅ぼすと脅され、ニラは八方ふさがりな状況に追い込めれていた。
こんな不条理で非現実的ことあるの?と、突っ込みたくなるが、読者が不条理で非現実的と思う以上にヒロインのニラが一番自分の置かれている状況に納得がいかない。
ニラの涙そそる苦悩もあれば、心折れる弱さ、反対にホーク家に立ち向かう強さや、絶対にこの不条理な苦境から抜け出してやると誓う覚悟、母の死の真相(ウィバー家6人目の長女)からくる復讐心、この非現実的な決まりを自分で終わらせると誓う決心などなど、心理描写をとても丁寧に書くペッパー・ウィンターズらしくニラの感情がとことん書き込まれている。
ニラはジェスロを殺したい思うほど憎く思う一方安心感を時に感じたり、ジェスロもこの負債制度を当たり前と捉えながらもニラに対して理解できない感情を抱えている。その理解不能な感情をジェスロ自身追及する所までにこの本ではいたってないが、彼女に対して強い欲情や独占欲をもっている。今まだニラはジェスロに憎しみだけ。ジェスロはニラに苛立ちだけしか存在しないが、今後の展開が楽しみで仕方ない。
ロマンス本を読んでいならが、ロマンスゼロなありえない展開に輪をかけ胸熱度マイナス50なのに、なんだこの切なさは!
この本に関しては、Goodreadsでもあまり評価は高くない、でも次からグーンと評価があがってる(ここ)。これだけ低い胸熱度から話が進めば、次の本での上がり幅は相当なんだろうな。今後のシリーズの展開に期待大・大、過去に類を見ない期待感を感じる本として最高でした!

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