完璧な恋に魂を捧げて: A Sign of Love (7)

2015年6月16日 | バニラ, 洋書, 総合評価 4, 胸熱本 | コメント0件

Kyland: A Sign of Love#7

大自然豊かなケンタッキー州アパラチア山脈の田舎町に暮らす、高校生のテンリー(Tenleigh Falyn)は卒業をまじかに控え、同級生のカイランド(Kyland Barrett)が気になっていた。お互いは、自身が置かれている苦しい状況に嘆きながらも、未来を夢み親しくなっていく。

  • 胸熱度 100% 100%
  • 濡れ度 80% 80%
  • 泣き度 30% 30%
  • 総合評価 80% 80%

今年の1月に発売になった、Wet Rush 大ファンのミア・シェリダンの新作、A Sign of Loveシリーズの7部。ちょうどその頃ブラック・ダガー・ブラザーズにハマっていたので、涙を呑んで我慢していた一冊をやっと読んでみた。

やっぱりねぇ、ミア・シェリダン最高!!

この本自体、シリーズと言っても過去の本とはまったく接点がないので、独立本として楽しめる。

前作に比べて、衝撃的な設定は無いけれど、ジワジワァっと心が温かくなる、アパラチア山脈の大自然を舞台に古き良きアメリカ的な素朴さと、苦しいながらも懸命に未来を夢みる若い2人の切ないラブストーリー。

テンリーは精神に障害がある母を姉と2人看病しながら、トレーラーハウスで貧しい生活を送っていた。姉妹で働き生活に必要な収入を得ていたが、母の治療費や薬代にそのほとんどを持っていかれ、残されたわずかなお金で食べて行くのが精一杯だった。

一方カイランドは父と兄を地元唯一の企業、石炭鉱山の事故で亡くし、母は失踪しと、1人寂しく貧しい孤独な生活を送っていた。

2人が夢みていたのは、石炭鉱山がサポートする、成績優秀な高校生に送られる大学進学への奨学金。貧しい2人に当然自腹での大学進学は難しく、唯一の方法は、学校でトップの成績を収め、奨学金をへて大学に行くこと。今日食べるのもままらない貧しく苦しい生活から抜け出す絶好のチャンスだった。

カイランドは、もし奨学金を得ることが出来なくても、高校を卒業したらこの田舎町から抜け出し、都会に出て自分の夢を掴むことに未来を思い描いていた。だから友達も作らない、ましてや彼女などあり得ない。父と兄の命を奪った、この田舎町に後引くものは一切残さず去ることだけが、彼の野望だった。

しかし、カイランドはテンリーに出会てしまう。

好きになってしまったら、いくら頑張っても無理無理。2人の距離はぐんぐん近くなり、切り離すことが出来ない関係に。

テンリーも同じく奨学金を得る事を目標にしており、テンリーとカイランド言わばライバル関係。とは言え、貧しい苦しい生活から抜け出す絶好のチャンスをお互いを思うほどに、相手に譲りたくなる。

そんな切ない状況が、胸にグサグザ切なく刺さるわけですよ。当然最後はハッピーエンドだが、そこまでの過程が実に切ない。貧しいながらも2人精一杯頑張る姿、小さな田舎町の人間模様や、大自然の壮大さとか、ミア・シェリダンの論理的で描写豊な文章力に、一瞬で読者を引きつける。

唯一ケチを付けるとしたら・・・18歳の男女がここまで大人な考えで、相手を思いやることが出来るのか? 自分が18歳の時と比較して(対象相手悪すぎww) 考えちゃうから、ちょっと非現実的かな。もしかしたら、若くして貧困や孤独など苦労を経験した子は、大人になるのが早いのか。ストーリーの中でヒーローとヒロインに若者らしい無鉄砲さとか、ぜんぜんないのよ。

まぁ、そこの矛盾は100歩譲ったとしても、それでも、ミア・シェリダンの期待通りの素晴らし文章に、十分酔わせて頂きました。

ミア・シェリダンの書く本って、影(貧困や虐待、孤児などなど)を抱えてた若者が、健気に頑張る姿とロマンスの組み合わせがお決まりだけど、良くありがちな設定にも関わらず、ここまで読者を引きつるのは、彼女の作家としての力量かなと思ってもみたり。

日本語版 A Sign of Love / 訳 高里 ひろ(Amazon Japan)

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