Quintessentially Q: Monsters in the Dark (2)

奴隷としての監禁から解放されたテス(Tess Snow)だが、Q(Quincy Mercer)を忘れられず、自らの意思でQのもとに戻り、2人はサドとマゾとしてお互いにしか分かりえない感情をぶつけながら、関係を深めていった。すべては完璧と思えた矢先、テス本来の強さが裏目にでたことや、Qが行っている被害を受けたSubを解放する活動などが端を発し、テスは誘拐されてしまう。やっとめぐり合えたかけがえのない女性、テスを守れなかった自責の念に駆られるQは、必死にテスの行方を探すのだが。
- 胸熱度 100%
- 濡れ度 40%
- 泣き度 60%
- 総合評価 60%
Monsters in the Darkシリーズの2部目。1部のエンディング、サドとマゾで、お互いSM楽しんで、Happy Ever Afterと思ったら大違い。むごい、非人道的なストーリーという面では過去イチかも。過去に読んだThe Dark Duetシリーズといい勝負。いやそれより凄いかも。
このストーリー、BDSMのダークな面を深~~くエグリ出しています。絶対的な支配者に完璧に従うSubはどうしたらなれるのか。いや、「なれる」じゃないな。完璧なSubをどうやって作るのか。本来人間に備わっているあらゆる感情を徹底的に破壊させて、Domの支配がSubのすべてと思わせるには、虐待につぐ虐待で精神を崩壊させる。
人身売買のディーラー達は、そうやって多くの女性の精神を崩壊させて、Domに売りさばいていた。しかし、いくら苦痛を与えても、自分を見失うことがなかったテス。ならば逆にテスの手で他の女性に苦痛を与えさせて、自責の念で彼女の精神を崩壊させる手段にディーラーは出る。もともと与えられる痛みに強いテスが、Domの言いなりになるよう心を無くしたら・・・ディーラー達が理想とするSubにテスは成り得たのだった。
Qは、危機一髪の所でテスをディーラーから救い出す。しかし、誘拐中に繰り返されていた虐待ですでに彼女の心は壊れていた。なんとか前のテスに戻って欲しいと、Qは不動産業として成功を収めた自分の業績や、Domとしてのプライド、そのすべてを捨てて、テスを看病する。しかし、すべての感情を崩壊させられてしまったテスの心を元に戻すのは、そう簡単な事ではなかった。
そんなおぞましい事が心理描写が素晴らしいペッパー・ウインターズによって、読んでて気が滅入る位に綴られている。
人としての心を無くしたサド男、限界知らずに女性に苦痛を与え、女性を物としか思っていない。虐待がちょっと行き過ぎて女性を殺してしまっても、オモチャを壊してしまったようにしか思わない。そんなディーラー達とQは、いわば「同じ穴の狢」。しかし、Qは人としての心を持っている。テスという一人の女性を愛し、他のサド男が作り上げた、もはや人と言えないSub女性を数多く救い出してきた。しかし、彼の心の奥底は葛藤している。いつか自分はテスを殺してしまうのではないかと。その答えも、ディーラーから救い出したテスを看病する傍ら、Qなりの結論を見出していく。
このストーリー、テスが誘拐される前までは、エロさ炸裂なのですが、誘拐されてから虐待シーンが延々続き、あまりにも惨過ぎて、読むスピードが落ちます。というか、休みを入れないと読み続けることが出来なった。
虐待を受ける人がどうやって心を閉ざし、感情を殺していくのか、その過程が詳細に綴られていていました。そして、精神が崩壊したテスの心をよみがえらせるQがとった手段も衝撃的でした。
ストーリーの中盤、ため息と涙しかでなかった内容ですが、Qとテスのロマンスが、最後なんとか読者の気持ちを落ち着かせてくれる、そんな内容。ストーリーの内容が良いか悪いかではなく、文学として楽しむ事ができました。
“You’ll never be free of me. I’ll never be free of you. It’s fate who decides, and fate gave us each other.”
このMonsters in the Darkシリーズ、3部作で、最終部の3部はもう発売されていると思って読み始めたのですが、なっ、なんと、3部6月3日発売とのこと。今日は6月1日なので、後2日どうしてくれるの・・・!! と、Wet Rush困惑中。他の本を読み始めるべきか、後2日待つできか。短編小説などをサクっと読んで、2日なんとかしのいでみるか。
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