悲しみの夜の向こう: Rosemary Beach (1)

19歳のブレア(Blaire Wynn)は癌と戦う母を1人3年間看病したが、報われることなく母は死を迎えてしまった。母の死後、膨れ上がっていた医療費を清算、彼女に残ったのは一台の古い車とわずかなお金のみ。新たに生活を立て直すのに、5年前、家を出て行った、たった1人の家族、ブレアの父に連絡をとり、しばらくの間、家に滞在させてほしいと助けを求める。そしてブレアは希望を胸にフロリダ州ローズマリービーチに向かうが、フロリダで待っていたのは厳しい現実だった。なんとか父の再婚相手の息子、ラッシュ(Rush Finlay)の家に期限付きで滞在させてもらうことになるのだが。
著:アビー・グラインズ (訳:林 亜弥)
- 胸熱度 70%
- 濡れ度 50%
- 泣き度 85%
- 総合評価 80%
なんと、2年ぶりの読書レビューです。
皆さん、お久しぶりです。
ご存知の方も居る思いますが、なにを血迷ったか、Wet Rush本を書いておりまして、その間、読書レビューもお休みしていました。しかし、無事書いた本を自主出版で発売出来たので、また読書レビューの方も再開して行きたいと思っています。
そして、2年ぶりの読書レビュー1発目は、やっと日本でも訳本出版されたローズマリービーチシリーズ。
私がこの洋書を読んだのが、なんと7年前。それから長い月日が流れ、やっとの訳出版。もう嬉しくて、嬉しくて、本と同じ位の値段の送料をかけて、日本から注文しました。
そして、ウキウキした気持ちで早速読み始めたのですが・・・。
この本のストーリーレビューはすでに洋書の方に書かれているので、ここでは割愛。代わりに訳について、生意気にもレビューさせてください。
そして、これはあくまでも、私個人の意見。決して出版社や翻訳家の努力を蔑ろにするものではないです。
いや、なんかね・・・この本の訳、読んで悲しくなった。
作家アビー・グラインズが作り上げた世界観がまったく反映されてないよ。
ヒーローのラッシュはもっと激しくて、熱くて、でも実はロマンチストで、ヒロインを好きになれない理由があるのに、彼女が気になって仕方がない。自制心ぶっ飛ぶ寸止め状態が続く、そのジリジリ、イライラした感が全く日本語で表現されていたなかった。キャラから言っても彼は決して自分を「僕」などと言う男ではないよ。現実の世界なら、エアロスミスやローリングストーンズのメンバーの一人息子で、息子も父の影響を受けたワイルドさをプンプン撒き散らしてる。
ヒロインのブレアも、歳の割にはしっかりしていて、でも健気で、英語の彼女の方がずっと魅力的。
それに、訳は随所に誤訳がみられ・・・。
中には、数字の桁が間違ってる訳もあって、普遍的な数字を間違って訳すのは、痛い(少なくとも、私の業界では数字の誤訳は。大問題になる)。
私もこの本の洋書を読んだの7年前だからね。忘れてる所もあって、話の辻褄が合わないとか、記憶と違うかもと思えるような所はもう一度洋書を読み直して確認した。そしたら、やっぱり訳が間違ってる。
私が随筆した本にも、誤字脱字、タイプミス多くて、どの口が言うか!と皆さんからのツッコミが聞こえてきそうだが、単純なタイプミスではなく、登場人物の思いやセリフが謝って訳されてしまったら、ストーリーとして成り立たない。だから、誤訳はタイプミスより責任あると思う。
丁度数日前、私の好きな作家、泉野ジュールさんが翻訳についてTwitterで語ってて、共感が持てたので、私もコメント残したりしたのだが(ここ&ここ)、私も実は翻訳に関わる仕事をしていて、良い訳の定義がなんとなく自分の中にある。だからかな、この本の訳を読んでいて、とても悲しかった。
星の数ほどある洋書の中から、日本の出版社の目に止まって、訳さる本って、それだけで奇跡で大切なもの。でも、それがこんな風に訳されてしまったら、せっかくの奇跡が台無しじゃないか。多分世の中に、私のように、英・日両方を読んだ人って、そういないだろうから、勝手に責任みたいなもの、感じちゃったのかな。
この本は、もっと、ずっと、 素敵な話なんだよって、言いたい。
ストーリーの後半は、話に勢いがあるので、その影響を受けて、日本語訳も、それなりに勢いがあったと思う。でも、翻訳の質は、正直お粗末。
最後に、出版社の方も、翻訳を担当された方も、こんな批判ようなブログ、申し訳ない。
でも、見て見ぬ振りが出来なかったのが、私の素直な気持ちです。
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