眠り姫、歓喜する魂 (2)

100年の眠りから王子様により目覚めた眠り姫は城に連れてこられ、調教と徴罰に耐えていた。しかし徴罰の中に屈辱、恐怖、痛みの他に喜びがある事を見出した眠り姫。そこから反抗心が芽生え、そんな彼女の反抗心は、不服従な態度となり、城から村送りとなってしまった
著:アン・ライス(訳: 柿沼 瑛子)
- 胸熱度 30%
- 濡れ度 100%
- 泣き度 20%
- 総合評価 40%
まずなにわともあれ、これを最初に言わせて。
アン・ライスこのストーリーを妄想して作ったあなたは「ド変態」ですww。
で、私は好きだ。とんでもねぇ〜ストーリーなんだが、後からジワジワ来て何故か好きだ。
当然エロいから好き。ってのもあるけど、常日頃このブログでも言ってる、エロいだけじゃぁ駄目、通常は胸熱なロマンスとか人間模様に共感したり、感動したりにエロが加わった本を好んで読んでるが、この本にそもそも共感や感動は一切ない(きっぱり)。
でもね、後からジワジワ来るだよぉ。
まずなんと言っても、ストーリーのフリキレ感がいい。
Wet Rushもこれでも一応社会の常識とやらについつい縛られた考えを持ってしまうから、BDSMを国ぐるみで条例化してるなんて、今も昔も絶対無いし、ありえない。あまりにも非現実的だぁ〜とか、細かい事では「避妊もせずそんなにいろんな人とヤリまくって大丈夫?」、「生理の時はどうするの?」、「アナルにいつも張り形詰めてるけど、ウンコ大丈夫?」とかくだらない事まで考えちゃうけど、その辺の説明とか言い訳はストーリーにない。
そこがなんか妙に潔くて、アン・ライスが「そうだと言えばそうなる」フリキレ感に快感さえ湧いて来る。
それにこの本ある意味、哲学書。サブ&マゾの哲学。
懲罰と快楽。従順と服従。その意味と価値を語ってるのよ。ここまでサブ&マゾの心理を掘り下げた本ってなかなか無いから、読んでて興味深かった。
城で調教を受け少しずつ官能に目覚めた眠り姫は、自分の中に矛盾を感じる。毎日繰り返される懲罰、最初は屈辱と恐怖だったが、次第に快楽に結びつき、頭では嫌と思っても体がそれを求める矛盾。また、主人に素直に従っていても懲罰は主人の気まぐれで受けなければならない。そこに自分の選択の余地はまったくない。ならなぜ従順でいる必要があるのか。懲罰に耐え抜くと褒められて、それを良い性奴隷と言うなら、その矛盾を埋める「真の服従」とはなにか。
そんなこんなで、「さらなるその先の深いサブ&マゾ世界」を求めちゃった眠り姫、自ら反抗して早速村送りに。
城では性奴隷でさえいればいいけど、村は奴隷市場で自分を買った主人の性ならず労働も強制される城よりも遥かに厳しい環境。一応眠り姫も一国の王女だからね。平民に支配される屈辱はとても大きい。
同じく村送りになった、王子と友達&セフレみたいな関係になるのだが、彼を通して語られる、主人に身も心も魂さえも自分を100%受け渡す完全なるサブの思いとか、屈辱、恐怖、痛みに耐え抜くマゾの喜びとか、城で眠り姫が感じた矛盾への答えを探りつつ、哲学的にその心理が語られている。
このシリーズ思うに、ストーリーのプロットやドラマを楽しもうと読むと非常につまらないと思う。むしろその世界で眠り姫や周りの登場人物が感じる心理を哲学的に理解しようと読むと面白さが後からジワジワ来る本だね。
だから好き嫌いもハッキリ別れると思う。
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