至上の愛へ、眠り姫 (3)

城から村へ移され、新たな調教と懲罰を受け歓びの日々を送っていた眠り姫だが、突然村を襲った異教の略奪者の手により、ほかの王子や王女たちとともにスルタンの国に連れていかれてしまった。スルタンの国では喋る事や、人間らしい行いは一切禁じられ、まるで欲望のために存在するペットのように扱われた。しかしその優雅で洗練された調教にますます虜になる眠り姫だった。
著:アン・ライス(訳: 柿沼 瑛子)
- 胸熱度 30%
- 濡れ度 90%
- 泣き度 10%
- 総合評価 40%
アン・ライスのド変態シリーズも、いよいよ最終部。
この本これでもww一応ロマンスだから、ハッピーエンドで話を終わらせる必要がある。てなワケで、前の1、2部に比べ、ストーリー性があった。
つっても、ハーレクインの残念短編シリーズによくある、強引に話を持ってく紙芝居風なストーリー。だからストーリーに関しては特に感想なし。城から村送りになった眠り姫、今度は異国(スルタン: 中東っぽい)からの襲撃にあい、今度はそこの奴隷になる。このスルタンの国はBDSMの楽園のような所で、眠り姫ますますBDSM道まっしぐら、と思いきやまた元の国に戻るからの、奴隷奉仕が解かれ、王女に戻ってしまう。で、同じ奴隷仲間の王子(サブに無理やりなってたけど、実はドムもOKなスイッチ)も奴隷奉仕開けて、2人は幸せに〜と、至って単純な話。
でもね、2部のレビューでも言ったけど、このシリーズはストーリーを楽しむ本ではなくて、マゾの心理をとことん分析して、サブの喜びを追求した話なので、そこに書かれた哲学を理解するのが正解だと思う。
そして眠り姫の心の変化も興味深い。24時間裸で折檻させらる事に、苦痛、屈辱、恐怖を強く感じながらも。
- 1部では折檻されて「あそこが濡れる」
- 2部では折檻されて「あそこが濡れてそそられる」
- 3部では折檻されて「あそこが濡れてもっとして欲しい」
最初は、苦痛、屈辱、恐怖が先行して、なぜ「あそこが濡れる」かを考えるまでに至ってない。それが2部では「あそこが濡れてそそられる」その意味を疑問視して考え始める。で、ついに3部では「あそこが濡れてもっとして欲しい」と自らマゾの世界を開花させる。
1部だけ読むと、非人道的なシーンがオンパレードでこの本の意図する事が理解しにくいけど、2部、3部と読み進めていくと、結局眠り姫はそれを求めてたのねと。
つまり最初から眠り姫「嫌よ嫌よも好きのうち」だったらしい。
この本で最後、奴隷奉仕をとかれた眠り姫は、本来の一国の王女に戻るのだが、眠り姫に膝まつかせ、スパンキング&靴先にキスを要求してた人達は、今度は眠り姫に膝つき一瞬で立場逆転。この当たりはBDSMの危うさなんかも表現してて、興味深かった。
とにかく、マゾとサブの心理をとことん掘り下げたこのシリーズ、面白いとは言えない内容だけど、とても興味深かったのは確か。
次はぜひ、アン・ライス、サドとドムの心理を追求して欲しい。
そして、最後に、訳を担当された、柿沼 瑛子さんも素晴らしかったです。
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