セイレーンの涙 見えない愛につながれて: The Original Sinners (1)

BDSMを題材にするエロチカ小説家のノーラ(Nora Sutherlin)は、数々のベストセラーを出す売れっ子作家。そんな彼女が手がける新作は、彼女のとって特別な思いがあった。大手出版社に勤務するやり手のザカリー(Zachary Easton)通称ザックは、上司の進めでノーラの自宅を訪れる。エロティカ小説家特有のダークな年配の女性を想像していたザックだが、実際のノーラは小柄でチャーミングな女性だった。
- 胸熱度 50%
- 濡れ度 55%
- 泣き度 50%
- 総合評価 50%
The Original Sinnersシリーズ再読でございます。去年洋書 The Sirenのレビューをこのブログに掲載しているので、同じ本のレビューをまた載せるのどうかなぁ…と思いましたが、スルメのごとくティファニー・ライス噛めば読むほど味が出てくるのであえて同じ本のレビューを2つ書いてみた。
この本、日頃お世話になっているロマ友の方が送ってくださった本。このシリーズ日本語版も読みたいなぁ〜と思ってたいたものの、他の多すぎる積本や新刊に優先順位を奪われてずっと読めていなかった。そんなおり、私の願望を察するがごとく手間暇かけて本を送ってくださったCさん本当に感謝です。
今年はこのシリーズの続編が出版され、いよいよ長〜いノーラのロマンスが完結を迎えます。今年中にこのシリーズ全部読む! と決めていたWet Rush、今年も残す所後1ヶ月半、今年はティファニー・ライスで締めくくる予定で、おさらいも兼ねてこの本を読んでみた。
今回、洋書を読んだ後に訳本を読んでみて、「へぇ〜こんな風に訳してるんだぁ〜」と訳そのものを楽しめた。
でも良いのか悪いのか訳は全体的に硬いねぇ〜。
ノーラの破天荒ぶりが薄れてる。本当のノーラはカスワード炸裂で激しい女性。またソルン(Søren)の謎めいた雰囲気を表現するのに、彼の言葉はかなり固く訳されているが気になった。
Little one = 小さき者。
いくらなんでも硬すぎない? ソルンがノーラを呼ぶ愛称だから、今時だったら、Sweet heartとかBaby girl。愛称を訳す日本語がなかったら無理に訳さなくてもいいのにと思ってしまった。
後、ウェスレー(Wesley)も訳が彼を幼くさせてるようにも感じる(意図的にそうしたのかな?)。確かに可愛らしい所がある青年だが、彼の喋る英語はもっと今時の男の子だよ。
ストーリーに目を向けてみても、新たな発見として、作家ノーラと編集者ザックの目線を通して、ティファニー・ライスの作家感が盛り込まれててよろしい。ストーリーの中ノーラは「こんな風に書きたい」と要望がハッキリしていて、編集者のザックは、いい本とはこう言うものだ的な見解を彼女の執筆にアドバイスする。これって、言わばティファニー・ライスの作家感なわけで事実このシリーズも全体の大枠は、「ノーラとザックが思う良い本の定義=ティファニー・ライスの作家感」で構成されている。
例えば、ノーラは、ヒーローのキャラは明確にさせ過ぎず、読者にそれぞれにイメージを描かせる方が良いと言っている。実際その通りに全シリーズを通してソルンのPOVは出てこない(これから読む新たな本もおそらく)。このシリーズの真の主人公であるソルンのキャラはノーラを始めとする周りの登場人物から語られる言葉で、この本の段階ではまだ、冷淡、厳格、サドのDom、でも一人の女性を心から愛し…と、彼のキャラはベール包まれ読者それぞれが感じるイメージに委ねらている。それが多いにソルンへの興味を刺激することに繋がっていると思う。
ベストセラー作家と豪腕編集者が良い本を作り上げるというプロットをこの本に用いた事で、小説としてのハードルをティファニー・ライス自ら上げてるよね。彼女は作家として自信があるから、ノーラをベストセラー作家にして、さらに豪腕編集者ザックを登場させる事が出来たのかな。私個人的には大成功だと思うけど。
後、言葉汚く、描写が綺麗。
まぁコレは、原書読んだ時にも感じた事だが、ソルン以外の登場人物の口語は結構荒っぽい。それがことエロシーンなると、描写に使う文章が限りなく美しく綺麗。やってる行為はバキバキBDSMなのよ。そんなエグさ炸裂の行為を美しい言葉で語ったら、3倍増しでエロく感じる。
韻を踏んだ美しい英語表現は残念ながら日本語では楽しむ事は出来なかったけど、それでも良い内容だった。
今回再読と言うことで、ストーリーのレビューは省きました。ストーリーに関するレビューは原書のこちらを見て下さいね。
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