The Queen: The Original Sinners (8)

スコットランドの古城を貸し切り行われているノーラ(Nora Sutherlin)の友人グリフィン(Griffin)とマイケル(Michael)の結婚式。レセプションをつかの間抜け出したノーラは、チャペルの片隅でDommeとして本当の自分を見つけたあの当時の心境をソルン(Søren)に告白する。
- 胸熱度 80%
- 濡れ度 80%
- 泣き度 30%
- 総合評価 80%
The Original Sinnersシリーズ 8部目(最終部)。
あぁ〜遂に終わってしまった…。こんなにも面白くて、知的で哲学的で、ユーモアがあって、そしてエロくて、この素敵なシリーズもこれが最後かと思うと読み進めるのが勿体なくて、気に入った箇所をシツコク何度も読み直したり、一度読み終わったら今度は名シーンをダイジェストで拾ってみたりと、粘ってみた事10日、ついに重い腰を上げてレビュー書いてみる。
スコットランドの古城、200名近くの招待客を招いて開かれたのは、グリフィンとマイケルの挙式だった(前回の7部でノーラとソルンの結婚式と勘違いしたのは私ですww。つ〜か、完全にティファニーの引っ掛け、あの書き方なら普通勘違いするは)。今ではニューヨークで話題の若手アーティストに成長したマイケルはグリフィンと4年という歳月愛を育み今日の日を迎えた。そして、挙式の誓いを務めるのは神父はソルン。出席者の中にはソルンと面識の無い人物も含まれ、同性婚の神父を務めるのはソルンにとってもリスクあるものだった。しかし子供の頃から知るマイケルのたっての希望でそんなリスクも快く受けいれる。ノーラはマイケルの付き添いとして式に参加。一方グリフィンの付き添いはキングスレー。彼らを取り巻く環境はますます濃いものになっていった。
レセプションを抜け出したソルンとノーラ、過去2人が離れていたあの時期、ノーラがDommeとしてBDSM界に突然姿を現し、クイーンと周りからリスペクトされるようになるまでを初めて振り返る。
「過去があるから今がある」ってまぁ当然の事だけど、あの時2人が別れたから今がこうして幸せでいる事実を振り返りながら検証するようなストーリー。
ソルンの元を去り、キングスレーの自宅に居候させてもらう身だったノーラがMistressとして仕事を始め、作家としても成功を収め、家を購入し自分の人生を歩き始める。
ってさ、ノーラ、パンドラの箱開けちゃったんだな。今まで心の奥底に燻る願望を無視しながらソルンのSubとして、彼に服従する事ことが幸せと思っていたエレノア(Eleanor)。それがソルンとの別れをきっかけに、ずっと燻ってた願望を具現化したら、すげ〜世界が待ってた。もう絶対エレノアには戻りたくない。水を得た魚バリに毎日が楽しくて仕方がない!!
でも楽しさの裏にはソルンを恋しく思う寂しさが募って…。
ソルンは、今もノーラを愛してるし、戻ってきてほしいと彼女に言い続ける。もちろんノーラもソルンをずっと愛している。なのになぜ2人はよりを戻さなかったのか。ソルンはエレノアしか認めなかった。自分の元に戻る=Dommeのノーラは存在しない。一方ノーラは、ノーラとして築き上げたこの世界を全て捨てる事が出来ない。この溝がずっと埋まらなかった2人。
そんな時、溝の埋まらないまま、ソルンは神父修行を兼ねて、中東シリアにしばらく行く事になるのだが、こうやって実際にお互い離れると見えてくるものがあるんだなぁ〜。
ソルンは自分の前でエレノアでいてくれれば、他ではエレノアだろうとノーラだろうと関係ないと気持ちを整理した。ノーラも自分のわがままを貫くのよりもソルンといるエレノアが大切。彼のためならノーラを捨てられると決心した。
これでやっと2人は幸せに戻るれる。めでたし・めでたし〜のはずが…。
神のいたずらトラップはもうひとつ。
ノーラはウェスレー(Wesley)に出会っちゃったんだなぁ。そして、ストーリーはレットイヤーズ1部に戻り。皆さんおなじみのセイレーンの涙、天使のはつ恋に話が続きます。
ティファニーのこのストーリーの運び、滅茶苦茶ニクくない?
こんな風に、緻密に計算されたプロットがこのシリーズには沢山ある。ソルンとノーラが出会った頃、ノーラはソルンに「永遠」を約束する。そしてソルンはノーラに「全て」を約束する。この2つキーワードがシリーズあちこちに登場して、最終部のこの本でもこのキーワードで話が締めくくられる事で、ぶれない世界観を表現したり、それぞれの登場人物を多様なキャラにする事で、独特なBDSMの世界を矛盾点なく具体化したり。
- キングスレーは、ソルンに服従し、ジュリエット(Juliette)を支配する。
- ソルンは神に服従し、ノーラを支配する。
- ノーラは、ソルンに服従し、キングスレーを支配する。
最初から厳密に決められ、計算されているから、時系列を無視した前後バラバラな話で、しかも登場人物が入り組み、おまけになんでもアリのBDSMエロでも、読者も困惑させたりする事がない。とにかく抜群の安定感。
また、非現実的なBDSM世界の矛盾を潰すティファニーの哲学に、納得以上に共感さえ覚え。
そして何はともあれ、魅力溢れるイキイキした登場人物…
Kingsley (Theophile Boissonneault)Edge: ソルンへの報われない思いを抱えながらも、現実を受け入れ全てを守るキングスレー。ヤリチン、チャラ男、バイでスイッチと濃いキャラだが、実は思いやりある熱い男。キングスレーは完全にキーパー。彼がいなければこの世界が回らない。
Marcus Lennox Stearns a.k.a Søren: 名前からしてカッコよすぎるww。頭脳明晰、洞察力にすぐれ、長身、金髪、イケメン、そして柔和温順。非の打ち所がない完璧な男性。彼の発するオーラを超えるものは神以外存在しない。しかしサディストだった。人を身体的に痛めつける事と、精神的に落とし入れる事を好む。若い10代の頃から50歳までのソルンがこのシリーズで語られているが、歳を重ねるごとに彼の硬さが取れ、柔らかさが増していくのもこのシリーズの魅力。
Eleanor Louise Schreiber a.k.a Nora Sutherlin: 過去読んだすべてのロマンスの中でも1、2を争うほどに好きなヒロイン。強さ賢さ、大胆さ繊細さを兼ね備え、そして何より情に熱い。情に熱いから惚れっぽいというおまけもついてくる。彼女がこのシリーズでヤッた男性を時系列であげてみると、ソルン、キングスレー、グリフィン、ダニエル、ブラット、ランス、ノーア、タリー、 ソニー、マイケル、ザック、ウェスレー、ニコ。なんと13名(その他に女性ともレズったりしてる)。しかもこの13名全員の男性がノーラに好意を持っていて、なんとも羨ましい限りww。ある意味最強。関係をもった男性一人一人にきちんと親身に接してるから、それぞにドラマがあり、軽いノリに終わってないもよろしい。
他に類を見ない設定と、納得の哲学、パズルの時間列、エロの多様性、人情劇、すべてがピカイチで本当に面白いシリーズでした。
日本語版The Original Sinners / 訳 清水 由貴子、藤峰 みちか (Amazon Japan)
お疲れ様でした。本当に有難うございます。
翻訳を待っていても無理らしいから、あらすじだけでもありがたいです。
ソルンとノーラ、結婚しないのなら、ソルンはずーっと神父であり続けるんですね。
なんとなくホッとした。でも修行先がシリアですか?他の危険がありそうな。
そこは神の海兵隊イエズス会だから行くんだろうな。
ともかく、ティファニーさんの作品は他のロマンス小説を凌駕する内容と質だと思います。
なんちゃって、初心者の私が言うことではないけど。
シェリー・ローレンストンのシリーズの朝のラジオ体操のようなHOTシーンをぎゃははと笑って
楽しむのも好きだし、ティファニーさんの深い作品も好きだし。
ともかく、ロマンス小説というジャンルの海を見つけちゃったから、
これからも遊ぼうと思います。また時々おじゃまいたします。よろしく!
SIRONEKOさ〜ん
いつもコメントいただきありがとうございます‼︎‼︎
ソルンとノーラ法的には結婚はしていないですが、4部でソルンの母から代々嫁に受け継ぐ贈り物を贈られたり、ソルンからは結婚指輪をもらい以来ずっとノーラは2人の結婚指輪を通したネックレスをしています。その指輪には、それぞれ「永遠」と「全て」が刻まれてる。まぁつまり法以外はすでに嫁って事ですかね。ただこの8部の最後に一行ちらっと記載されていたのですが、ソルンは3歳に成長した息子に今回初めて会って、彼のためにも親子の関係を隠すさず、教会に息子がいる事を公表したいと思った。それはつまり神父クビを意味するのだが、BDSMとか性的な事でクビになるより、息子のためって言う方が世間の当たりもいいので、運良ければすでに神父歴36年のソルンはそのまま引退となるだろと。
そしたら法的にもソルンとノーラ結婚が可能になりますが、そこまでストーリーに明記されていないので、後は読者の想像におまかせって事かと。
後、シリアへの修行。いっこうにノーラとヨリを戻せないソルン。コネチカットの教会にい続ける意味ないしもうソルンという存在は捨てて、スターン神父一本に絞ろうって事で最初はシリア行き一生を志願したんですよ。まぁ私の想像ですけど、ノーラがいないならソルンであり続ける意味がない。最近プライベートな自分(ソルン)に翻弄されてるから本来のスターン神父に戻りたい…etc. 後当然サドなので、まったく自分の元に戻ってこないノーラへのお仕置き(笑)。一生戻ってこない、しかも今世界一危険なシリアと聞いて、キングスレーは同様しまくり、ノーラもこりゃ大変だって事で、ここでソルンとヨリを戻す決意をする訳です。で、「あなたが行くところ世界中どこもで一緒に行く」宣言をしてシリア行きの飛行機まで手配、さすがにノーラをシリアに連れて行くわけにはいかないので、ソルンは4ヶ月だけシリアに行って戻って来るとノーラとキングスレーに約束〜〜〜からのソルンがシリアに行っている間、ノーラウェスレーに出会ってしまい…が本当の流れです。
レビューめっちゃ割愛してしまいすみませ〜ん☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
もうこういうダーク系から爆笑吹き出し系、号泣鼻水系まで、ロマンス止められません‼︎ こちらそ、これからもよろしくお願いします‼︎‼︎
まあ、こんなに丁寧にお話してくださって、有難うございます。
シリア行きはある意味脅しの手段でも有ったのね。
グリフィンの結婚式の時、参列者の面前で、ソルンがノーラへ熱いキスをしてたので
ダブル結婚式かと思ってました。
この長編小説は、スターン神父伝としてもいい様な感じもします。
出生の秘密から、母から手ほどきを受けたピアノを終生忘れず続けたこととか
父から受け継いだであろうサディステックな性癖とか・・・・。
登場人物の誰よりも事細かに50年に及ぶ半生を読むことができる。
ティファニーさんはソルン様を愛してる、と思いました。
ところでソルン様の容貌をWET RUSH様はどのように想像していらっしゃいますか?
他の登場人物はそれなりに想像できるんですが、ソルン様だけが浮かんできません。
ジョージ・クルーニーから油気を取っちゃって、髪の色と眼の色を合わせて、もう少し
細面にする、くらいしか思いつかない。
私には人間としてふさわしくないほどの整った顔立ちなんていう人、思い浮かびませんでした。
ところで、ロマンス小説の定石である、目もくらむほどの富豪と世間ずれしていないウブな
女子の恋物語という範疇から外れているから(あるいはトラウマを抱えた男女の出会いそして
組んずほぐれず)、日本での翻訳はあんな中途半端で終わっちゃったんでしょうか。
レビューを書く時、すべてのプロット押し込みたいとも思うのですが、一冊に含まれる出来事すべては無理なので、感想を述べるに必要と思えるポイントだけ抽出して、要点だけを述べるようにしてるんです。ネタバレしてるようでしてない的なつもりww。
でも、矛盾点も出てくると思うので、ジャンジャン質問してください‼︎
このシリーズに日本で受け入れられなかった理由、私なりに思うのは、最初のセイレーンの涙がハッピーエンドでなかった。しかもあの時点は誰がヒーローなのか分かりずらい。みんな拍子抜けしたのかな。だから思いの他数字が伸びなかった。その数字がそのまま反映されて次に続かなかった。後、単純にティファニーが有名になって版権の値段が上がって、今の日本の出版事情からは手の出る金額ではなくなったとか。
やっぱり、SHIRONEKOさんの仰る通り、お決まりヒーロー&ヒロイン、中盤ドキドキ、終盤ハッピーエンドの本がすんなんり受け入れられるのかもしれませんね。
ティファニーは、ソルンのイメージをニコライ・コスター=ワルドーって言ってますけど。ジョージ・クルーニーもいいすね〜。
私は、ジェイソン・ルイス、ポール・ウォーカーあたりも推薦❤︎
ティファニー様に敬意を払ってニコライ・コスター=ワルドーさん調べてみました。
髪と目を整えたら、なかなか。
ワタシ的には鼻筋をもう少しイギリス風にすっとしてくれれば申し分ありません。
あの風貌でサッカープロ並みだったら見惚れそうです。
ところで、お言葉に甘えてお聞きしますが、ウェスレーにはこの時点でお相手は
居なかったんだろうか?
それとも、やはりノーラを忘れかねて一人だったのか?
レッドシリーズ4では、愛する方が出来たようだったけど。
SIRONEKOさ〜ん。
ホワイトイヤーズにウェスレー登場しなかったんですよねぇ…でも、私的には、彼は今の彼女と幸せにやってると思います!
ウェスレーの彼女は、実はソルンの姪のライラ(Laila)です(ソルンの母と再婚相手の孫)。3部でノーラが誘拐された時、たまたまデンマークからアメリカのソルンの所に遊びに来ていたライラも同じ誘拐犯に誘拐されてしまいます。その後ライラはノーラの誘拐伝言役として解放されるのですが、ノーラを救出すべく、ソルン、キングスレー、ウェスレー、グレースと行動を共にします。それまでウェスレーは、ソルンとキングスレーはノーラに暴力を振るうと毛嫌いしてましたけど、みじかでソルンとキングスレーがどうノーラに接してるか見て、自分の立ち位置みたいの自然と理解した模様。で時同じく高校生のライラは歳の近いウェスレーと仲良くなって〜〜からの、恋愛に発展し、でその後デンマークの高校を卒業したライラはケンタッキーの大学に留学して、2人はHappy ever after。
説明長くなりましたけど、ウェスレーのロマンスは4部で完結してるので、きっと幸せまっしくらだと。どちらかと言うと、ウェスレーはノーラに憧れみたいな物も好きな思いに含まれてたのかな。だから、若いウェスレーとライラのカップルは、それが自然な形って納得できましたよ。
有難うございます。そうですよね、ウェスリーくんが二股やら浮気やらするわけがない。
勘違いでした、すいません。
お相手はやはりライラですか。しかし、ソルン様と血縁関係ができるなんて面白い。
この間、フィフティ・シェイズのパロディ映画の宣伝見ました。
パロディ映画ができるほどにヒットしたんだと今更ながら驚きました。
思えばこのロマンス小説の王道みたいな作品からこの世界の存在を知ったようなものですが
魅せられた作家がティファニー・ライスやらプライドシリーズやらで
なにやら主流からは早くも外れてる?という気がしてます。
SHIRONEKOさん
ノーラに筆下ろし&エロ技術を伝授してもらったウェスレーがそのテクをライラに披露して…本当は最近童貞を捨てたばっかなのに、そこは秘密にして処女のライラにアルファっぷり発揮する所とか微笑ましかったですよぉ〜。
で、ソルンは姪に手出したウェスレーますます嫌いにww。でもノーラが「ウェスレーとライラの恋愛に口挟むな‼︎」と、女王様節でソルンをやり込める。それが4部のラストシーンです。
フィフティーがきっかけてで、エロチカとか読み始め、もっと良い作家にどんどん出会って行く。同感です。日本ももっともっと訳本だしてほしいですね。
ほお~、ソルン様とウエスレーの「エンジェル」での対決シーンを思いかえすと
ウエスレー君も色々お勉強したのですね。
ソルン様がウエスレー君を嫌うのも無理はない。
ノーラが童貞を奪えないほどに愛した男性だしハンサムで富豪だし
そのうえ愛する大事な姪を奪われたらそれはご機嫌斜めですね。
今、近所の図書館でロマンス本を漁り、気に入ったら買っております。
イブ&ロークシリーズが全巻そろっていたので、現在10巻目を楽しんでいます。
ミステリー好きなので、中々面白いです。
SIRONEKOさん
まさに、ソルン&ウェスレーに関しては、「雨降って地固まる」的な展開っす!
ところで! イブ&ロークシリーズやっぱいいですかぁ~。実は1部だけ読んで2~5部は積んでます。このシリーズ原書も入れると現在37部までありますからね。その数字を見ただけで尻込みしてます。読み終わったら感想ぜひ教えてくださいね。
10巻目読み終わりましたので、簡単にこのシリーズの感想を。
まずローク様はロマンス小説史上一番の富豪ではないでしょうか?
なにしろ『宇宙の半分を所有している』というのが冗談に聞こえない方なので。
イブ様はセオリー通り買い物が嫌いで金欲物欲無しの細身長身運動神経抜群の警部補。
そして、ふたりとも子供の頃の虐待の傷を癒やすことが出来ない。
近未来の設定でもう戦争は起きないことになっていて、武器を市民が持ってはイケナイと言う設定。
しかし、残虐な犯罪は後を絶たず、死刑廃止の後は、罪人は監獄衛星に島流しになるようです。
HOTシーンは私のような初心者には結構熱いです。(BDSMはないようですが)
主人公二人も周りにいる人々も、巻が進むに連れ少しずつ成長しているのが面白みのようです。
10巻読めばある種のパターンは読み取れますが、それでも楽しめました。
各巻のエピソードが楽しみなので、全巻制覇を目指します。
SIRONEKOさん
感想ありがとうございます!! やべぇ~読みたい。一生かけても読みたい本がなくならないような勢い&積本もハンパない状態ですが、いつか完読したい本ですね。