The Rose: The Godwicks (2)

リア(Ophelia “Lia” Godwicks)は両親が開いてくれた大学卒業パーティーで、父から美しい薔薇がデコレーションされたアンティークのワイン酒杯を譲り受ける。パーティーに参加していた、両親の知人で魅力的なギリシャ人男性、オーガスト(August Bowman)は、そのワイン酒杯はただの酒杯ではなく、古代ギリシャ時代、寺院での儀式で愛と性を司る神エロスが使っていた「ローズキュリクス」だとリアに告げる。自分と一緒にその酒杯でワインを飲めば、過去に経験のない性的なファンタジーを体験できると言って。最初はオーガストのことを不審に思ったリアだが、ローズキュリクスにそそがれたワインを一口飲んだリアを待ち受けていた世界は、想像を遥かに超えるものだった。
- 胸熱度 50%
- 濡れ度 80%
- 泣き度 20%
- 総合評価 60%
随筆活動がひと段落して、まず最初に飛びついた本は、私の大好きな作家、ティファニー・ライスのファンタジーシリーズ2部目。
うん。なかなか面白かったよ。
前回のThe Redはエロさ底抜けという感じだっだが、今回はエロ以外のプロットも話に盛り込まれているし、普通にヒーローとヒロインが出会い、お互いを好きになっていくプロセスが含まれているので、安定感がある。
今回のヒロインは、The Redのヒーロー&ヒロインの娘の話。どうやらこの家系は、エロファンタジーに深く関係しているらしい。
前回はヒロインが絵画の世界に入り込んでエロで楽しむ話だったが、今回はギリシャ神話でエロをご体験。リアがアンドロメダになり、ペルセウス(オーガスト)との新婚初夜体験だったり、トロイア戦争に勝利したアキレウスとパトロクロス2人で戦利品として手に入れたブリーセーイス(リア)と3Pしたり。他にも沢山の神話が登場する。
そして、ゼウスとダナエ(リア)の黄金の雨のシーンは、ロマンス小説の息を超えた、ワンランク上のエロだった。
私自身ギリシャ神話の知識が無くて、まぁ無くてもストーリーの中でティファニーが簡単に説明してくれているので、それなりに楽しめるが、やっぱりある程度は知っていた方がより楽しめる。随分とググって、ウキペディア見てと、バックボーンを確認しながらの読書だったので、読み終わるのに時間がかかってしまった。簡単に言うと、ギリシャ神話に登場する様々な人物の誰と誰が結婚して、子供を生み〜〜と、さらっと流されてる本元のその話の部分を深掘りしたエロ体験ファンタジー。
でも話はそれだけじゃ進まない。現実社会でのトラブルやその事でリアとオーガストの関係が深まったり、リアの両親のその後とか、盛り沢山な内容。
でも、やっぱり、ティファニーだね、色々なプロットをスッキリまとめて読み応えあって、彼女の作りあげるキャラクターのユーモアセンス良くて。そして、前作と同じく、ヒーローの謎をミステリー仕立てで引っ張る。ギリシャ神話をモチーフにしたエロチカなら、ヒーローの謎はこれだよね、と、最後は納得で、本当によく書けていると思った。
それにね、ずっとティファニーの作品を追って読み込んでいると、ここ最近の彼女の作品に、気合いが入ったシーンがあるって思うの。どう言う事かと言うと、まぁ小説だったら、目玉のシーンていうは必ずあって、作家だったらそのシーンに力を注ぐとお思うのだが、ティファニーの最近の作品は、その目玉シーンを読者に届ける能力がすごい高まってると思う。例えば彼女の代表作と言える、The Original Sinnersの5部目、ヒロインがヒーローに処女を捧げるシーン。このシーンはシリーズを通して重要な所なのだが、意図的に激しさを強調して書いていて、そのインテンスな文脈が読んでてビシビシと本当に心拍数が上がる程に伝わってくる。そして今回は、激しさではないが、情緒がダダ漏れのため息が出るほどの美しい風景を表現したシーンがあって(オーガストがリアへの愛を確信するシーン)、まるで本物を見てうっとりさせられている様な、情景が鮮明に脳裏に浮かぶ。本当にね、私、日差しや風まで擬似体験して、あたりを漂う香りや音が聞こえてきた。文章だけでここまで読者を盛り上げる事ができる作家としてもティファニーの能力がすごいなって思ったよ。
そして、今回は古典も含んでいるので、それを彷彿させる文章と、古典以外の部分でも、どエロなのに品があるのは、もうティファニーのお約束だな。
胸が熱くなって、号泣大感動なストーリーではないけれど、作家としてのティファニーの腕前に唸ならせられる内容だった。
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