The Virgin: The Original Sinners (7)

ノーラ(Nora Sutherlin)がソルン(Søren)、キングスレー(Kingsley Edge)に出会って20数年、ノーラとソルンの結婚式を明日に控え、それぞれが空白だったあの時、ノーラがソルンの元を去と決めたあの時を初めて告白する。
- 胸熱度 100%
- 濡れ度 80%
- 泣き度 70%
- 総合評価 90%
The Original Sinnersシリーズ 7部目。皆さんこんにちは。この本を読書中、食あたりに見舞われしばらく読書どころでなかった。そのためすっかり完読に時間がかかってしまいました。
このストーリーは、ノーラがソルンと別れる経緯と約1年間、母が居る修道院に身を隠した理由が明かされ、時同じくハイチを旅していたキングスレーは、彼の生涯のパートナー、ジュリエット(Juliette)に出会い愛を育む、ダブルロマンスストーリー。
ティファニー・ライスのストーリーの書き方が本当にニクいと思うのだが、最初のシリーズでその事実を1行程度さらっと説明しておく。十分に興味を引きながらも、ストーリーは別のドラマがメインで進み、で、その後その1行解説の場面が実際にどんな事があって、当事者はどんな感情だったのかを、シリーズの後の方でジックリ説明して行く。だから時系列もバラバラ。読者は、ずっと埋まっていなかったパズルのピースがやっと埋まるような感覚に襲われる。
ノーラがソルンの元を去ったのは、彼女がキングスレーの子を妊娠して中絶、1人でその局面を乗り切ったノーラの側に居れなかった事を悔いたソルンは、自分の天職、神父を辞める決意をしてノーラにプロポーズした。その事が原因でノーラはソルンと別れる。この事実はシリーズの最初に分かってる事。
でもプロポーズからの別れって、2人愛し合ってるのに話が極端過ぎって思うじゃない。確かにノーラはソルンに自分のために神父を辞めてほしくなかったってのも事実だけど、それだけじゃ理由が弱い。
で、この本でその全貌が明らかになるのだが、改めて思った。ソルンも人間なんだよ。シリーズ通してソルンが人間離れした完璧君に見えるけど、彼だって当然感情はあるワケで、不安や嫉妬だって抱えて自分を見失う時もある。
まだノーラが10代の頃、初めて彼女に会ったキングスレーはソルンに、「ノーラはSubではなくてDomだ」と忠告した、しかしそんな彼の意見に耳を貸さなかったソルン。あれからソルンは何度となくノーラとプレイを楽しみ、彼女をキングスレーとも共有してきた。BDSMへの理解が深まっていったノーラはどうしても拭い去る事の出来ない感情の芽生えに苦し始まる。それが26歳の時、キングスレーの誘いによって遂に爆発し、キングスレーのDommeとして彼を痛めつける快感をノーラは覚えてしまった。
ソルンは、ノーラが自分のSubでなくなる事に不安を抱える。そんな時にノーラはキングスレーの子を妊娠、中絶(1人で決断し行動して)しかもその時のプレイはノーラがDommeだった。それを知ったソルンは、ノーラが自分の支配から離れて行く感覚があったのかも。だから結婚を推し進めてノーラをもっと支配しようと試みたのかな。
ここで、ソルンとノーラの支配と服従の関係に歪みが出来ちゃったんだな。ノーラはソルンのDommeになりたいとは全く思っておらず、2人一緒の時は、彼のSubでありたいと思っているが、それ以外では自分は自分でありたい。しかしソルンは、何時いかなる時も彼女支配したい。
そんな感情の歪みが愛する2人の別れに繋がってしまった。
でもね結果、シリーズ終盤、こうやって2人がお互いの全てを受け入れて今幸せでいるのは、あの時の別れがあったからだと思う。
ソルン=神父とサドという2面性
ノーラ=SubとDommeという2面性
結果、あの別れがあったらソルンも今、ノーラのDommeの面も愛する事が出来るようになったのかな。そのままの相手を、そのまま受け入れる。
Happiness was giving herself to him, putting her body and her life into his hands, knowing that when he was done, he would give her back, and she would belong to herself again.
そして、キングスレー。
行方が分からなくなったノーラを心配するソルンは、すぐにキングスレーに連絡を入れる。しかしキングスレーはこんな日が何時か来る事は分かっていた。ソルンがBDSMでサド性をコントロールしているとは言え、何時か一線を越える時が来るのではないか。Dommeとして自分を持ち始めているノーラと衝突する日が来るのではないか。
その昔は、ソルンとノーラの幸せを妬んだりもした、しかしノーラをソルンと共有する事で、ノーラを通してソルンと再び体を重ねるようになったキングスレーは、今ではノーラもソルンと同じような大切な存在と思っていた。
キングスレーは、ソルンを助けるのではなく誰にも行き先を伝える事なく旅に出てしまう(ソルンの行き過ぎた支配欲とサド性への懲らしめも兼ねてww)。後…キングスレーずっと子供が欲しいと思っていたんだよね。だからノーラの中絶に落ち込んでいたのも事実。
世界中を旅して行き着いたハイチで、息を飲むほどの美しい黒人女性ジュリエット(Juliette)に出会う。百戦錬磨のヤリチン、キングスレーでもこれほどまでに自分にフィットする女性は初めてだった。彼女の魅力と体から一生離れなれないと思うほど。しかし、ジュリエットはキングスレーと一緒になる事の出来ないある理由があり…
この流れは、何時ものロマ本の流れです。お互い惹かれあい、でも一緒になれない障害があって〜〜の安心して楽しめる何時ものロマンス。でも、もう一方のノーラとソルンが「2人の関係の歪みによる別れ」に対してこっちの「南の島での暑く燃え上がるロマンス」、通常以上に熱々に感じる。
キングスレーもね、報われない思いをソルンに抱く… ソルンのためにノーラも愛する… とかじゃなくて彼だけの幸せな女性(男性でも)現れて欲しいってずっと思ってたから(本人もそれを望んでいた)やっと、やっと幸せを掴んで、もうね、それだけで「よかったねぇ。本当によかったねぇ」っと嬉し泣きするくらいWet Rush幸せ。
My Jewel, I can’t give you my whole heart. But the part of it I can give you is the part that isn’t scarred and isn’t broken. I’ll give you the best of me and protect you from the worst the rest of my life.
とまぁ、とにかくソルン、ノーラ、キングスレーの感情が最大限に表現されていて、本当に素晴らしかった。
この本は、「ノーラとソルンの結婚式を明日にひかえ〜〜」からの設定になってるんだけど、そこまでの経緯が一切書かれていないので、まだ不明点多し。次の本で明らかになるのかな…、というこで次行きます(いよいよ最終部!!!!)
日本語版The Original Sinners / 訳 清水 由貴子、藤峰 みちか (Amazon Japan)
早速読ませていただきました。
なるほどね、ソルン、キングスレー、ノーラ三人の関係性がよくわかりました。
ソルンはその昔キングスレーを救いソルンはノーラに救われノーラはキングスレーに救われる。
「エンジェル」でソルンがスーザンを翻弄しながらも救ったのは自分がノーラに出会わなければ
スーザンの兄と同じことになっていた、と思ったからかな?
しかし、ソルンとノーラが結婚するという決心に何故進んだのか、ラストが楽しみです。
ところで、この前の話ですが何故ソルンの子供が生まれたかという疑問は、
(ノーラがキングスレーの子を妊娠したということを考えると)
ノーラはピルやリングで避妊をしていたから、ソルンはイギリス人の帽子を付ける習慣が
なかったということでしょうかね。
冬は思ったより食中毒の多い季節です、どうぞお体をお大切に。
SIRONEKOさ〜ん。本当にソルン、キングスレー、ノーラは切り話せない関係ですよね。通常のロマンス本と違い3人のロマンス。ティファニーライスはちょっといびつな関係をすっきり上手くまとめていると本当に思います。
ソルンがスーザンを救ったのは、私は別の見解です。
ソルンって一見冷血なサドですけど、神父に成るべくしてなったと納得できる清い心の持ち主です(まさに彼が神w)。だから人を陥れたり、出し抜いたりしない。スーザンを救った(受け入れた?)のは彼が神父としてふさわし人格だから。「7日間のご主人様」でも妻を亡くし引きこもっているダニエルを救うために、自分の大切なノーラ(その当時はエレノア)を貸し出す位ですから。そこに思惑や裏はない単純に彼の思いやりだと思う。それにサドのダークな欲望の方は、キングスレーがエイトサークルで沢山専属Subを抱えてるので、彼女たちが彼の欲求を満たしてくれる、普段の生活や職場の教会に個人の欲望を持ち込む必要がない。と思うのですが…どう思います?
ノーラとソルンの結婚の経緯は今読んでるThe Queenで明らかになると思うんですよ(しばしお待ちぉ〜ww)。
最後に、ソルンとグレースの子供の件、この本では触れられていなかったです。何か裏があると思ったのは私の考え過ぎで、実は女性経験の少ないソルン、単純にゴム付ける忘れたんですかね? またはそういう習慣がない? SHIRONEKOさんの推測が正しいのかもですね。
次の最終部のThe Queenではまだまだいろいろ深堀希望するプロットがあるので、そこをどう埋めてくれるのか楽しみですね。
ご丁寧なご返事、有難うございます。
私はキリスト教に対してほとんど知識がないので、神父さまや牧師様の業務内容が
何一つわかりませんでした。
先日、カトリック関係の本をたまたま読んでその忙しさ、魂に対する責任の重さなど
お仕事のほんの一端を垣間見ることが出来ました。
いやー、ストレス満載のお仕事ですね、サド気質でなくても何かで発散しなければ
やってられない!と私のような縁なき者は思ってしまうほどです。
ましてや、ソルン様は神父という仕事を天職であると語り、それを誰一人否定しようのない
人格者なのですから、第八圏での気晴らしくらい良いじゃないの!などと思ってしまいます。
レッドもホワイトも日本語でよめたら、ソルン様への私の理解もより深まるかと思いますが、
そんな時もいつかは来るかもしれないと希望するのみです。
ところで、シェリー・ローレンストン大好きなのですが、此方も三冊翻訳されただけで
後続本の出版予定はわかりません。
何故面白いとわかっている本が日本語訳されないのでしょうかね?
本当、ソルンはSubとは完全に同意の上でのプレイなんだから、何も問題ないじゃん‼︎ って思いますよね。このシリーズ、ティファーニー聖書を引用してのBDSM感をかなり哲学的に語ったり、矛盾を批判したりと、BDSMロマンス以外にも実は宗教色濃いですよね。
そしてシェリー・ロレンストン‼︎ Pride シリーズ‼︎ 読みたいって思ってるんですけどねぇ…9部まである長編モノに二の足踏んでる〜‼︎ 読みたい本が多すぎて、一生かかっても追いつけないだろうなぁ…と最近思い始めました。
本当に最近の日本の出版事情は悲しい限り。ってこの現象が将来良くなるとは思えなくなってきた。出版社もただ本が売れないと嘆くばかりでなくどんどん新しい事に挑戦していって欲しい。